まだあげそめし「黒髪」の
中でも、島崎藤村の「初恋」という作品を面白く読みました。「まだあげそめし前髪の」から始まる文語定型詩です。全文は覚えていなくても、このフレーズだけは頭に残っているという人も多いのではないでしょうか。五七調で印象的なリズムです。
暗唱が好きな私は、「まだあげそめし前髪の」などと部屋で呟いてみたりするのですが、大体「前髪」のところを「黒髪」と言い間違えてしまいます。
自分の中では、失敗すると最初からやり直し、というルールなので、また「まだあげそめし」と始めるのですが、やはり「黒髪」と間違えて、いっかな先に進んでいきません。
そういう女性が好きという個人的な嗜好もあるのかもしれませんが、しかし、この文章を読んでいると、自然と黒髪の美少女が浮かんできます。古語の持つ力ではないはず。「まだ上げたばかりの前髪が」と現代風に訳しても、やはり同じような情景が思われます。
私は、藤村の原文よりも、自分の言い間違えの方が正しいと言いたいわけではありません。
前後の文脈やリズムの中で、「前髪」という言葉が別の意味と情景を連れて立ち現われてくるような、そんな想像力を掻き立てる文章が書けたらいいな、と思っているんです。
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